婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
「姫輝寝ちゃったし、そろそろ帰る?」
「寝てる間に帰ったら怒るんじゃないか?」
「それもそうだね。もう少し寝かせてあげて、私たちも休憩しよっか」
本当に子どもの体力ってすごい。
姫輝はまだおとなしい方だとは思うけど、既に私の体力じゃついていけない……。
私たちはフードコートに行き、運良くソファ席が空いていたので姫輝を寝かせた。
パパの膝の上を枕にして、気持ち良さそうに寝ている。
「そういえばこの前、ベリーズの社長と飲む機会があってさ。20周年のコンペの時、なんで妃乃にベリーズランドの好きなところを質問したのか、聞いてみたんだよ」
「えっそうなの?」
「社長はあの時のこと覚えててくれたんだけど、企画にすごく愛を感じたらしい。
だからベリーズランドのどんなところが好きなのか、純粋に聞いてみたかったって言ってた」
「そうだったんだ……なんか嬉しいな」
私たちなりの愛と熱意を込めて考えた企画、それが伝わっていたんだと思うとすごく嬉しい。
「ねぇ皇輝、また三人で来ようね」
「おう」
「これからもっと思い出を増やしていこうね」
家族みんなでこれからも――
「……う〜ん」
「あら姫輝、起きたの?」
「お姫様のお目覚めだな」
「……だっこ」
「よしよし、おいで」
まだ寝ぼけた様子でパパに手を伸ばす姫輝を、大事そうに抱きかかえる皇輝。
夫と娘を眺めていられることが、本当に幸せ。
「妃乃、行くぞ」
「ええ」
姉弟として出会った私たちが、今は夫婦として手を取り合って歩んでいる。
形は変わっても、大切な家族であることはこの先も変わらない。
この色褪せない日々が永遠に続いていきますように――。
fin.