婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
ちょうどいいだろ?じゃないのよ。
言い寄られて困るっていうのはわかる。
皇輝は出会った時から顔面偏差値エグかったし、パーティーでのあの騒がれ様から、今でも尋常じゃなくモテるのだろう。
高校の時だって、姉とわかったら皇輝を紹介してって何度言われたことか。
まあとにかく、だ。
「だからって姉である必要ある?」
「あるんだな、これが。
さっきの親父の話に戻るけど、愛娘を傷付けられて親父の怒りは相当だ。
妃乃、強引に実家に連れ戻されただろ?
もう一人暮らしもさせないつもりらしいぞ」
「な、なんでそうなるの?」
「妃乃を一人にしたくないんだとさ」
考えてみれば、元々一人暮らしするって言った時もお父さんはすごく渋い顔をした。
皇輝に対してはそこまでじゃないけど、女の子だからなのかお父さんは私に対して、必要以上に過保護なところがある。
もう26歳なんだけど……。
「この勢いだと、妃乃は永久に親父の庇護下で過ごすことになるだろうな」
「流石に大袈裟すぎない?」
「いやマジで。それほどまでに今回の件は親父の怒りを買ったんだ。
妃乃、婚約破棄の慰謝料はもらったのか?」
「……。」
「…やっぱりな。妃乃がそんなだから、余計に親父が暴走するんだよ」
だって、体調を崩してしまってそこまで頭が回らなかったんだ。
もちろん慰謝料はもらいたいけど、そこに費やす労力が私になくて。