婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


「おはようございます」

天王寺(てんのうじ)さん、おはよう。
早速だけどいい?次の企画なんだけど」

「もう出来てますので、後で資料お待ちしますね」

「もう!?流石天王寺さん、頼りになるなぁ」


私、天王寺(てんのうじ)妃乃(きの)は大手広告代理店に入社して4年目。
入社当時から企画制作課に配属され、去年くらいから追われるばかりだった仕事に心の余裕が生まれ、仕事をすることが面白くて楽しくなってきた頃。


「あれ!?妃乃さん、その指輪って…!」

「ああ、実は……」

「兵藤さんとですか!?おめでとうございます〜!」

「ありがとう」

「妃乃さんの企画、部長がめちゃくちゃ誉めてたそうですよ。
仕事もデキて恋も順調…妃乃さんは憧れの先輩です〜」

「やだなぁ。やめてよ、塔子(とうこ)ちゃん」


この子は後輩の金城(かねしろ)塔子(とうこ)ちゃん。
私より2個年下の24歳。

入社当時から面倒を見ていて、私を慕ってくれるかわいい後輩なんだけど、ちょっと問題もあって……。


「天王寺さん!聞いてください!
金城さん、まだ別の人に仕事押し付けて帰っちゃったんですよ!」

「またなの?」

「親が急病って言ってましたけど、今月何度目!?って感じなんです!
天王寺さんからも言ってください!」


サボり癖というか、押し付け癖とでも言えばいいのか、誰かに仕事を押し付けて帰ることが多い。
あまりに目に余るのだけど、かわいくて甘え上手の塔子ちゃんは部長からも気に入られていて、なかなか強く言えない。

だけど、困っている人がいるのだからいい加減見過ごすことはできない。


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