婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


「塔子ちゃん、一人で抱えられない案件なら先に私に相談して。
手伝えるかもしれないから」

「え?」

「誰かに頼まないとできない仕事なら、分担してやりましょう」

「……はぁい。妃乃さんは本当に頼りになりますね〜」


はっきり言ってしまうと角が立つので、まあこんなところかな。

上司にも結婚を報告し、近々両親との顔合わせも決まって着実に準備が進んでる。
結婚しても仕事は続けるつもりなので、もちろん手は抜かない。

とにかく毎日が充実していた。
何もかも上手くいっていると、そう思っていた。

ある日の帰宅途中、母親から電話がかかってきた。


「もしもし」

「もしもし、妃乃?今大丈夫?」

「うん、どうしたの?」

「顔合わせの日なんだけど、やっぱりずらしてもらえないかなぁ?
お父さん、どうしても外せない大事な仕事が入っちゃったらしくて」

「そうなの?わかった、歩に聞いてみるね」

「ごめんね!大事な日なのに。
お父さんもすごく謝ってたよ」

「仕方ないよ。大丈夫、何とかするから」

「ありがとう。それからね、皇輝(こうき)くんが帰ってくるんだって!」

「え、ほんとに?」

「そうなの!もし予定が合えば、皇輝くんも同席してもらったら?」

「ああ、そうだね。考えてみる」


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