婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
家では専ら部屋着でグータラするか、ゲームばかりしている。
妃乃がそんな風に気を許してくれるのが親父は嬉しかったらしく、いつもデレデレしていた。
どう見てもダサい芋女なのに、「妃乃ちゃんはかわいいなぁ」と鼻の下を伸ばしている。
てゆーか、仮に家族でも血の繋がらない男と同居してるのに、なんだこの体たらくは……?
普通もう少し気遣ったりするんじゃないのか?
「おい妃乃!!」
「ん?何?」
「何?じゃねーよ!!妃乃の洗濯物が俺んとこ混じってんだよ!!」
「あ、マジで?ごめ〜ん」
こいつ、下着とか見られても平気なのか?
なんで何とも思わないんだ??
「だって皇輝は弟じゃん」
妃乃は最初から俺のことを弟としか見ていなかった。
学校では3年間同じクラスになることはなかったし、姉弟になってからも学校ではあまり会うことがなかったからなのか、妃乃の中で俺はとことん「弟」だった。
何故かそれが気に入らなかった。
妃乃は家族として仲良くしたいと本気で思っている。
その気持ちは有難いはずなのに、こうも男扱いされないのもムカつくというか……。
「皇輝はなんで彼女作らないの?毎日皇輝を紹介してくれって言われるんだけど」
「付き合いたいと思えねえから」
「皇輝ってもしかして、初恋もまだ?」
「……は?」
「まだなんだ!いつも偉そうな王様のくせに、意外とウブだね!」
「妃乃、ゲーム付き合わねえぞ」
「わーっ!ごめん!このステージ皇輝いないとクリアできないから!!」