婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


高校生の時は両親が再婚したばかり、俺たちが家族になったばかりで心配をかけたくなかった。
周りの目もあったし、抑え込まなきゃいけない気持ちだと思っていた。

でも、今は俺も妃乃も独立してる。
周りの目なんてどうでもいい。何があっても俺が妃乃を守る。
しがらみなんてないことに気づいてしまった。

それに親父も妃乃を手離さなくて済むんだから、これ以上の結婚はないだろう?

なんでそのことにもっと早く気づけなかったんだろうな……。


そして、その日がやって来た。
天王寺グループ主催のレセプションパーティーで、そいつらを見つけた。

妃乃が天王寺グループの社長令嬢だと知らないのか、厚顔無恥な女と男が妃乃に話しかけている。


「心配しないでくださいね?
歩さんのことも仕事も、塔子が責任持ってしっかり引き継ぎますからね!」


おいお前、妃乃よりこんなクソ女を選んだのか?
お前の見る目のなさと愚かさには、一周回って笑いすら込み上げてくる。

ロンドンにも妃乃より良い女なんていなかったのに。
お前は人生最大の過ちを犯したんだ。



「俺の婚約者を傷付けるな」



お前たちのことは一生許さない。
妃乃を裏切って傷つけた罪は重い。

だから二度と妃乃の前にその汚いツラは見せるな。


妃乃は俺がもらう。俺が幸せにする。
もう誰にも譲らない。


< 52 / 186 >

この作品をシェア

pagetop