婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
高校生の時は両親が再婚したばかり、俺たちが家族になったばかりで心配をかけたくなかった。
周りの目もあったし、抑え込まなきゃいけない気持ちだと思っていた。
でも、今は俺も妃乃も独立してる。
周りの目なんてどうでもいい。何があっても俺が妃乃を守る。
しがらみなんてないことに気づいてしまった。
それに親父も妃乃を手離さなくて済むんだから、これ以上の結婚はないだろう?
なんでそのことにもっと早く気づけなかったんだろうな……。
そして、その日がやって来た。
天王寺グループ主催のレセプションパーティーで、そいつらを見つけた。
妃乃が天王寺グループの社長令嬢だと知らないのか、厚顔無恥な女と男が妃乃に話しかけている。
「心配しないでくださいね?
歩さんのことも仕事も、塔子が責任持ってしっかり引き継ぎますからね!」
おいお前、妃乃よりこんなクソ女を選んだのか?
お前の見る目のなさと愚かさには、一周回って笑いすら込み上げてくる。
ロンドンにも妃乃より良い女なんていなかったのに。
お前は人生最大の過ちを犯したんだ。
「俺の婚約者を傷付けるな」
お前たちのことは一生許さない。
妃乃を裏切って傷つけた罪は重い。
だから二度と妃乃の前にその汚いツラは見せるな。
妃乃は俺がもらう。俺が幸せにする。
もう誰にも譲らない。