婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


それから、妃乃の前職に関する調査も行っていた。

入社4年目にして、妃乃の活躍は目を見張るものだ。
任された企画は全て高評価だし、コンペの勝率も高い。
どれもクライアントの要望に寄り添いながら、独自性もあってしっかり練られた企画ばかりだ。

どうやって調査したのかは企業秘密だが、早くも妃乃に役職を付けようとする動きがある情報も掴んだ。
あの元婚約者もマーケティング部のエースとか言われていたらしいが、正直出世するのは妃乃が圧倒的に先だろう。

勤務態度も真面目で、上にも下にも信頼されて人望がある。
こんな優秀な人材を失って、さぞ痛手だろうな。

あの浮気女が妃乃の仕事を引き継げるとは思えないし、全くご愁傷様なことだ。


身内だからと言って贔屓はしていない。
正当な評価をした結果、妃乃はチェスターの社運を賭けたBプロのリーダーを任せることに決めた。

公私ともに妃乃が欲しい。
いや、絶対に手に入れる。

Bプロも絶対に成功してみせる。


「今日から妃乃は、姉じゃなくて俺の妻だから」


そもそも姉だと思ったことなんて一度もないけど。

こうして俺は強引にも、表向きは妃乃を妻とすることに成功した。


< 53 / 186 >

この作品をシェア

pagetop