婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
6.知らなかった一面
義弟に告白されました。
「…………やっぱり夢だったのかな」
月曜日の朝、鏡に映る私の顔は今日も酷い。
我ながら寝起きのブサイクさ、すごいな。
こんな姿、家族の前でしか晒せない。
自分で言って悲しいけど、家でのグータラっぷりを見続けている皇輝が私を好きって、あり得なくない?
だって、皇輝は高校の時から鬼のようにモテた。
俳優ばりに目鼻立ちは整っていて、くっきりとした二重で目は大きい。
日本人にしては彫りが深く、横顔の綺麗さといったら彫刻か?と突っ込みたいレベル。
しかも長くロンドンにいた皇輝は、向こうで数々の英国美女と出会っていたはず。
そんな天下の王様が芋臭い義理の姉をわざわざ選ぶ?
いや、選ばない。
「おい、妃乃」
「ひゃあっ!?」
「いつまで洗面台の前に突っ立ってんだよ」
「ちょ、ちょっとまだ頭が回ってないの!」
すると皇輝は私の耳元まで顔を近づけ、吐息を吹きかけるように囁いた。
「……起こしてやろうか?」
「はあっ!?」
ど、どうやって!?
つーか顔近い……っ!!
「つーか無防備な格好でいつまでも突っ立ってんじゃねぇよ。襲うぞ」
「おそ……っ!?」
「食べられたくなかったらとっとと着替えろ」
そう言って皇輝は洗面台から消えた。