婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
「会社ではやめてよ……」
部下としては嬉しいけど、身内としては恥ずかしかったり照れ臭かったりしてむず痒い気持ちになる。
こういう皇輝も知らないから、調子狂うな……。
「よし、帰るか」
「あ、はい」
私は急いで帰り支度を整え、最後の戸締まりも行って会社を出た。
何はともあれ、明日は頑張ろう!
* * *
「…………。」
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫です……」
ちょっと、いやだいぶ緊張していて吐きそうだけど……指先からブルブル震えて、さっきからキーボードが上手く叩けないけど。
今は社長である皇輝とともに、ベリーズランドの本社に向かう車の中。
車中でもPCを立ち上げ、さっきからずっと資料を何度も読み返している。
大丈夫だよね?
午前中に皇輝にもチェックしてもらった。
これで問題ないはず……!!
「…不安を煽るつもりはないが、先方の担当者はなかなかに厳しい方で有名だ」
「そ、そうなんですか!?」
「ベリーズ入社10年目、アルバイトから経験していて生粋のベリーズランドファン。
生半可な企画じゃ突き返される」
「……っ!!」
「でも、こっちも生半可な準備はしていない。
よく練られた企画だ。自信持てよ」
「社長……」
「デートして良かっただろ?」