婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
* * *
「株式会社ベリーズ営業担当の阿僧聖美です。よろしくお願いします」
担当者の阿僧さんはキリッとした凛々しい美人で、目力が強い女性だ。
挨拶から既に品定めをされているようで、とても緊張する。
「チェスターの代表取締役、天王寺皇輝です。よろしくお願いします」
「同じくクリエイティブ担当の天王寺妃乃です!本日はどうぞよろしくお願いします!」
「……よろしくお願いします」
阿僧さんは私たちの名前を聞くと、チラリと視線を下へやった。
恐らく私と皇輝の左薬指を見られたんだろう。
「……。」
無言で無表情なのが怖いな……。
噂通りに厳しそうな人のようだ。
「それでは、早速ご提案を始めさせていただきます」
でも、怯んではダメだ。
気を引き締めて、私は作ってきた資料を手元でも見てもらいつつ、スライドを投影してプレゼンを始める。
練習した通りに何とかできたと思うけど、阿僧さんの表情は全く変わらなかった。
「率直に申し上げて、あまり良いとは言えませんね」
「……!」
阿僧さんの一言目はかなり厳しいものだった。
「もう少し予算を押さえられませんか?試みとしては面白いものですが、単純に予算オーバーです。
この予算設定にした理由は?」
「それは、こちらをご覧ください!」