婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
8.熱に浮かされて side.皇輝
妃乃がチームとの飲み会に行き、念のため一次会が終わりそうな時間を見計らって迎えに行った。
ベロベロに酔っ払う程飲みはしないだろうと思ったが、一応念のため。
妃乃は酒強い方だけど、たまに飲みすぎるからな。
過保護かもしれないが、結果的にこの判断は正しかった。
妃乃を裏切ったあの浮気男が、妃乃に迫っていたのだ。
二度と近づくなと釘を刺したのに。
汚い手で妃乃に触れるな。
自分でも信じられない程怒りに震えて、どうにかなりそうだった。
妃乃から引き剥がして奴を突き飛ばしたが、本当なら顔面を殴り飛ばしたかった。
こいつをボコボコにするより、社会的に抹殺した方がよっぽど効果的だと思ったから、何とか押し留めたけれど。
「…っ、天下の天王寺の御曹司が…義理の姉と結婚とか世間はなんて言うんだろうな…!?」
「世間体なんて気にするかよ。言いたい奴に好き勝手言わせておけばいい。
妃乃のことは絶対に守る」
世間体なんて気にしていたら、偽装結婚なんか仕組まない。
周りの目が何だ。
誰にも文句なんて言わせねえよ。
誰が何と言おうが、妃乃は誰にも渡さない。
やっと手が届きそうなのに、邪魔するんじゃねぇよ。