【コミカライズ配信】婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。


「……熱上がりそう……」


せっかく解熱剤が効いてきたのにこのままでは意味がないと、とりあえず私も自室に戻って布団に潜った。

だけど、布団に入ったら入ったで思い出してしまう。

皇輝まで熱を出したのは完全に私のせいだ。

だってあんなに、食べ合うみたいな……。


「ダメだ、寝れない……」


熱が少し引いてしまったせいで、逆に頭が冴えてしまった。

どうしよう……何が困るって、全然嫌じゃなかったことだ。

むしろ気持ち良くなって、自分から求めていたような気もする。

歩が来たことが、もはや遠い過去のことのように感じる。
あんな奴、もうどうだっていい。

頭の中は皇輝のことでいっぱいだ。


「皇輝……」


あ〜〜〜〜〜やばい、名前呟くだけで恥ずかしくなるって何なの!?

今まで何度も呼んできた名前なのに。

もう皇輝はただの弟ではなくなっている。
もちろんただの上司でもない。

一人の男性として意識してしまってる――。

私は皇輝が好きなのかな……?


そう思うと同時に、お母さんの顔が浮かぶ。
お父さんの顔も。

偽装結婚は私のためをと思っているみたいだけど、姉弟で本当に付き合うことになるって聞いたら……両親はどう思うんだろう?


< 86 / 186 >

この作品をシェア

pagetop