婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
なんか、ものすごくゾクリとする感覚を覚えた。
皇輝と目を合わせたら、ダメなような気がする。
何がダメなのかわからないけど、捕えられて逃げられなくなりそうな――。
ぎゅうっとうぱおをしっかりと抱きしめ、なるべく皇輝の顔を見ないようにした。
でも――、
「……っ!」
グイッと強引にこちらを向けさせられる。
思っていた以上に皇輝の顔が至近距離にあって……心臓が大きく脈打つのを感じた。
近くで見ると本当に綺麗な顔だ。
凛々しく美しい瞳は囚えて離さない魔力のようなものがある。
ボボボッと顔に火が灯るのがわかる。
せっかく熱が下がってきたと思ったのに。
「……顔が赤いのは熱のせいじゃないよな?」
「……」
熱のせいにできたらよかったのにな。
「……あの、重いんですけど」
どうしてこうなった?という程無意識に組み敷かれていた。
私の上に跨るように見下ろされ、いつの間にか逃げ場を失っている。
皇輝はじっと私を見つめている。
これは一体何の拷問なの……?
「離せって抵抗しねーの?」
「抵抗したところで離してくれるの?」
「やだ」
「ほら!!てか何なの!?」
顔の前にうぱおを持ってきてガード。
この空気はやばい。
まだ自分の気持ちに確信がもてない状況で、流されるわけにはいかない。