婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
「――何って、リモコン取りたかっただけだけど」
は……?
リモコンですと??
うぱおからチラリと覗けば、ソファのローテーブルの上にあったリモコンを取り上げ、「ほら」と見せる皇輝。
ちょうど私を跨がないと絶妙に取れない位置にあった。
「……いやっ、普通に取ってよ!!」
「どんな反応するのかなーと思って」
意地悪くニヤニヤ笑う王様。
私の反応見てからかってたの!?
「つーかちょっとガッカリしてない?」
「してない!!てか取ったのなら退いてよ!!」
「やだ」
今度はうぱおを取り上げられ、のしっと直に体重をかけられる。
うぱお……!!私のこと守るって約束したじゃない!!
「重い!!」
「だってこうしないと逃げるだろ」
「逃げるって……」
「なあ妃乃、俺のこと好き?」
――またこの目だ。
魔力が込められたような、囚えて離さないといった強い瞳。
「…………。」
「無言は肯定と取るぞ」
「…わかんないっ!!」
「ほーー」
だって、弟だと思っていた皇輝の知らなかった一面に触れすぎて、情報過多なんだもの。
上司としては尊敬できると思ってるし、当たり前のように英語は堪能だし、忙しくてもたくさんの仕事を同時並行で進めながら、社員への気遣いも忘れない。
強引だけど、ちゃんと私の仕事する姿を見てくれている。
かと思えば、歩に対して自分のことのように怒ってくれたり、ものすごく優しかったり……皇輝の知らない面に触れる度、どうしていいかわからなくなる。