婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
それって、つまり……そういうこと?
察せない程バカではないけど、それでも確信が欲しかった。
「……あわよくば、って?」
「わかってて聞いてるな?」
「ちゃんと言ってほしい……」
ちゃんと皇輝の言葉で聞きたい。
じゃないと雁字搦めに囚われた私の心は、絆されてくれそうにないから――。
「…妃乃のくせに生意気だな」
ふわっと微笑んだかと思うと、突然グイッと引き寄せて起き上がらせた。
そのまま包み込むように私を受け止めて、ぎゅっと抱きしめる。
「妃乃、俺と結婚して。本当の妻になってよ」
「……っ、」
「結婚したら、ずっと家族だろ?」
「う……っ」
「返事は?」
「はい……っ!」
皇輝の首に腕を回して、抱きしめ返した。
一層強く抱きしめてくれることが嬉しくて、もう離さないって言ってくれているようで安心できて……また涙が溢れる。
「――えっ」
だけど案外皇輝の温もりに浸ることなく、抱え上げられたかと思えばそのままどこかに連れて行かれる。
「ちょっと!?」
連れて来られたのは、初めて入る部屋だった。
中央にドーンとキングサイズのベッドが置かれた寝室だ。
「えっ!?こんな部屋あったの!?」
「こういう日が来た時のためにな」
皇輝が私をベッドの上に寝かせると、上に跨って自分のTシャツを脱ぎ捨てる。
再び露わになった半裸姿を、今度は口元を押さえながらまじまじと見てしまった。