フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
なぜなら、声に促されるように視線を向けた先で、意識を失う直前目にした〝水の滴るいい男〟が優美な微笑を湛えて見下ろしていたから。
ーーへ? ってことはまさか!
穂乃香は頭が割れるような頭痛に顔を顰めていたのも忘れて、胸元までかかっていた布団をガバッと頭まで被って自分の身体を恐る恐る観察する。
どういう経緯かは不明だけれど、この男と一夜の過ちを犯してしまったと思ったのだ。
だがそうではなかったらしい。
その証拠に、ジャケットは着てはいないものの、今朝身に着けたブラウスはボタンが二つほど外されているだけで、乱れはない。タイトスカートも穿いたままだ。
ーーということはセーフ? なんだ、もう吃驚させないでよ。
ホッと安堵する穂乃香の頭上から、男性の笑み交じりの声が降ってくる。