フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
「そんなに心配しなくても、酔った女性をどうこうするような趣味はありませんので、どうかご安心ください」
ーーしかも見透かされてる。
心の中を見透かしたかのような男の発言に羞恥をこれでもかと煽られ、顔どころか全身を真っ赤に染め上げてしまった穂乃香は、気まずくて布団から出るに出られなくなってしまう。
火照りがおさまるまでの間羞恥に身悶える羽目になった。
数分後、心身共に落ち着きを取り戻した穂乃香は、自身の置かれている現状を思い出す。
記憶はないが、この状況からして、どうやら男性に多大なる迷惑をかけてしまったようである。
ーーと、とにかく謝らないと。
今更だとは思いつつも布団からゆっくりと顔を出し、恐る恐る謝罪の言葉を紡ぎ出した。
「あのう、記憶が曖昧なのですが。どうやら多大なご迷惑をかけてしまったようで、すみませんでした」
けれどベッドの縁に腰を落ち着け腕組みしてうたた寝をしている男性の姿を捉えた穂乃香は、声をかけたことを後悔する。
だが時すでに遅し。目を覚ましたらしい男性がゆっくりと振り返ってきて、意外な言葉を口にした。
「ーーん? あっ、ああ、いえ。酔いも覚めてきたようで良かったです。酷い目に遭って苛立っていた気持ちも収まったようですね。ホッとしました」