おともだち
「そんなに好きだったんだ」
「結局実らない恋の方が引きずるんじゃないかなー。後悔があってそれが引きずらせるんだと思う。私ね、告白するつもりだったの。でも出来ずに終わってしまって消化不良。もし、あの時、告白してたらどうだったかなぁって。どうしても思っちゃうからね。振られたかもしれないし、付き合えたとしても嫌んなって別れたかもしれないのにね」

 懐かしくなって笑った。あれ、そうだよ、結局付き合ってたとしたら私はもっと早く誰かと付き合うことに疲れていたのだろうか。

「社会人になってからは、二人? どうやって出会ったんだっけ。まさか、うちの会社……だったりする? 」
「違うよ。そっか。元カレとか知り合いだったら気まずいもんね、今の関係。あれ、本当は元カレとかがセフレになりやすいんだっけ? 」
「いや、知らない」
「そ、そうだよね。……えっとね、一人目の人は大学の時の知り合い。再会して付き合おうかってなって、結局1年半くらいかな」
「何で別れたの」
「うーん、別れの決定打みたいなのはなかったんだけど、ちょっとづつ求めるものがずれてきちゃって。大人になると恋愛って難しくなるね。この時の恋人に感じた違和感をその次の人にも引きずっちゃった感じかな。その次の人は申し訳なくてすぐに別れちゃった」
「違和感」
「そう、違和感。……私は人と付き合うのに向いていないっていう」
「単に、その二人に気持ちが無かった、もしくは冷めたって事じゃないの」
「うん、私もそれ考えたんだけどね、そうじゃなさそう。ちゃんと好きなんだよ、好きだった。あの感情が好きじゃないなら、私は恋したことないってことになるよ」
「その大学の時の奴くらい? 」
「そうそう。加賀美くんは実らなかったけど、実ってたら同じだったと思うな」
「そっか、つか加賀美っていうんだ、そいつ」
「あ、うん」

 つい、名前を言ってしまって宮沢くんはしばらく動きを止めた。
 
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