おともだち
「そっか、それって、そっか」
「でしょ。まあ、嫌ならやめたらいいし、割り切れるなら美味しい関係にはなれそう」
「確かに」
「多江がそんなこと言うなんて意外だったけど、人生楽しんだもん勝ち。自由! 」
「確かに、私が求めてるのそうかも。ただ向こうから来られたらヤだから、あまりガツガツしてない人が良いな」
「そりゃそうだ。彼氏より会う頻度が少ない人がいいんだもんね」
「うん、そう。そうなの! 」

 お酒も進んで私たちは上機嫌だった。

「いいじゃんいいじゃん! 私は彼氏が欲しい。そろそろ将来を視野に入れた人がいい!」
「え、私と真逆じゃん! 」
「私は心が寂しいんだもん。安心が欲しい」
「なるほど。それはそれで、いいじゃん? 」

 私たちはお互いの意見を肯定しながら、だらだら酒を飲んだ。いいじゃん、それ。まるで大発見でもしたように私の心は弾んでいた。気負わなくていい男女関係は、私の長年の悩みを解決してくれる存在にならないだろうか。

「ただ、相手がいるんだよねー」
「ほんとそれ」

 私と奈子の求める相手像は随分違うけれど、相手を探すところから始めるという共通点はあった。

「出会いってどこにあるんだろうねえ」
「ほんとそれ」

 奈子は一生のオトコを。私は一時のオトコを求めてあーだこーだ言い合った。奈子はともかく、私は大っぴらに“セフレ募集中”なんて言えないし、誰かに紹介して、とも言えない。自分で探すしかなかった。……うーん、難しい。奈子の好みは知ってるし
「会社に良い人いないかチェックしとくよ」
「多江の会社、大手だもんね、嬉しいありがと! 」

 問題は、私の相手――だな。セックス、出来る人。言い方が悪いけど、キスやハグをして癒される人――。
< 9 / 40 >

この作品をシェア

pagetop