初めての愛をやり直そう
二週間が経った。
だが、今でもあの時のインパクトは薄れず、勉強が手につかない。
気がついたらメイド姿の茜を想像している。
(ヤバい!)
その繰り返しに本気で焦った。
いそいそと帰っていく茜を追いかける。
秋葉原には行かない様子だとそのまま家に帰り、そうでなければ追いかけ、カフェに入った。
自分でもストーカーだなと思い、苦笑するばかりだ。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「アイスコーヒーお願いします」
「アイスコーヒーでございますね? かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
こんなやり取りを繰り返す。
茜が微笑みかけると、拓斗の心臓はドキドキと早鐘を打った。と同時に、別の客に向かうと、たまらなくムカついた。自分の宝を取られたような感覚だった。
その時、小さな事件が起こった。
客の一人が茜の手を握ったのだ。茜は明らかに顔を強張らせ、それでも丁寧に放すよう促している。だが客は聞かなかった。
そんな様子にキレかけた拓斗が思わず立ち上がろうとした時、事態が変わった。
奥から中年の男が現れ、客に注意を促したのだ。なにを話しているのかはわからない。何度か会話を交わすと、客はおとなしく帰っていった。
(よかった)
ホッと安堵する。しかしながら、すぐに言い様のない苛立ちが湧いてくる。
(こんなトコであんな愛嬌を振りまいたら、勘違いするヤツだっているだろう)
茜は青い顔をしたまま奥へ下がっていった。
拓斗のほうは精算を済ませて店を出た。
そのまま歩道のガードレールに凭れて茜が出てくるのを待つ。
なぜさっさと帰らないんだろう?
自分に向けてそう思いながらも動けずにいる。
二、三十分ぐらい経つと、勝手口から茜が出てきた。拓斗は思わず駆け寄った。
「島津君」
「送ってく」
「え?」
茜の驚く顔を目の当たりにし、拓斗は苦いものを噛みしめるような気持ちを抱きながら、もう一度「送っていく」と言った。
「まださっきのヤツがいたらいけないから。俺はクラスメートだから、さっきのヤツよりかは安心だろ?」
「……うん」
二人並んで歩きだす。
何事もなく駅に辿り着き、電車に乗った。しばらく無言で過ごしていたが、茜の降りる駅に到着すると、顔を見合わせた。
「家まで送るよ」
「でも」
「今日だけだから」
茜は拓斗の顔を見上げた。
だが、今でもあの時のインパクトは薄れず、勉強が手につかない。
気がついたらメイド姿の茜を想像している。
(ヤバい!)
その繰り返しに本気で焦った。
いそいそと帰っていく茜を追いかける。
秋葉原には行かない様子だとそのまま家に帰り、そうでなければ追いかけ、カフェに入った。
自分でもストーカーだなと思い、苦笑するばかりだ。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「アイスコーヒーお願いします」
「アイスコーヒーでございますね? かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
こんなやり取りを繰り返す。
茜が微笑みかけると、拓斗の心臓はドキドキと早鐘を打った。と同時に、別の客に向かうと、たまらなくムカついた。自分の宝を取られたような感覚だった。
その時、小さな事件が起こった。
客の一人が茜の手を握ったのだ。茜は明らかに顔を強張らせ、それでも丁寧に放すよう促している。だが客は聞かなかった。
そんな様子にキレかけた拓斗が思わず立ち上がろうとした時、事態が変わった。
奥から中年の男が現れ、客に注意を促したのだ。なにを話しているのかはわからない。何度か会話を交わすと、客はおとなしく帰っていった。
(よかった)
ホッと安堵する。しかしながら、すぐに言い様のない苛立ちが湧いてくる。
(こんなトコであんな愛嬌を振りまいたら、勘違いするヤツだっているだろう)
茜は青い顔をしたまま奥へ下がっていった。
拓斗のほうは精算を済ませて店を出た。
そのまま歩道のガードレールに凭れて茜が出てくるのを待つ。
なぜさっさと帰らないんだろう?
自分に向けてそう思いながらも動けずにいる。
二、三十分ぐらい経つと、勝手口から茜が出てきた。拓斗は思わず駆け寄った。
「島津君」
「送ってく」
「え?」
茜の驚く顔を目の当たりにし、拓斗は苦いものを噛みしめるような気持ちを抱きながら、もう一度「送っていく」と言った。
「まださっきのヤツがいたらいけないから。俺はクラスメートだから、さっきのヤツよりかは安心だろ?」
「……うん」
二人並んで歩きだす。
何事もなく駅に辿り着き、電車に乗った。しばらく無言で過ごしていたが、茜の降りる駅に到着すると、顔を見合わせた。
「家まで送るよ」
「でも」
「今日だけだから」
茜は拓斗の顔を見上げた。