私の彼は御主人様
そう言ってドアを開けると。


『りっちゃーん! びっくりした? 』


父さんが豪快に笑いながら家に入って来た。


(噂をすればなんとやら!やばいっ! ノワール来ないでっ!)


そんな願いも虚しく。


『律、印鑑ぐらいどこに仕舞ってあるかわからんのか』


ああ…来ちゃった!


『父さんっ、あのっ』


『律のお父上か…』


固まるノワールとあたし。

でも、父さんは。


『やっぱり母さんの言う通りだな。その方が律の〈運命の相手〉魔界のお人か』

と静かに言った。


(え? 母さんの言う通り?)

意味が分からないあたし達はただ顔を見合せるばかりだった。




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