チカ先輩のお気に入り。
急に横から伸びてきた手は、私の肩を抱き行き場を無くした。
うわ、なにこれ、これじゃあ動けないよ……!
男の人をチラッと見ると、ニコッと笑って私を見ていて。
それに、ドキッとしてしまう私がいる。
だ、だって……っこの人、顔がいいんだもん……っ!!
「あ、あの、離してください……っ!」
「やだね。盗み聞きした人が、逃げられるとでも思ってるの?」
「しょうがないじゃないですか……っ!聞きたくて聞いたわけじゃ……っ!」
「そっかそっか。君の理由なんてどうでもいいけど」
「な……っ」
こ、こいつ〜〜っ!!なんなの……!!
慌てる私に、余裕そうなこの男。
な、なんかすごく……ムカつく!!
「はい、君名前は?」
「え、急になに……」
「名前聞いてるんだけど」
「…三倉、雪桜です……」
「雪桜ちゃんね。覚えた」
いや。いやいやいや。覚えてもらわなくて結構です。