チカ先輩のお気に入り。
駆けつけてくれて、凄く嬉しいんだよ私。
「……そっか。どういたしまして」
「はい!!」
「……雪桜ちゃんといると疲れないなあ」
「ふふっ、そうですか?」
力が抜けたように深呼吸したチカ先輩にまた微笑む。
表情も元に戻ったように感じてよかった。
……なんだか、前より仲良くなれてる気がする。
「戻ろうか」
「はい……!」
そう言って歩き出したチカ先輩の後を追う。
……やっぱり、チカ先輩は過去に何かあったんだ。
さっきの表情を見て確信する。
でもそれは、私が気にすることではないし聞こうとも思わない。
今笑ってくれてるだけで、それでいいよ。
確かにムカついたりもするけど、実際助けに来てくれたし。それにホッとした私もいた。
「あ、言っとくけど」
「……?」
前を歩くチカ先輩が歩みを止め私に振り向いた。
「……大切な子ってこと、嘘ではないから」
「……っ!」
……私は一生、この人には叶わない気がする。