チカ先輩のお気に入り。
「えーっと、私、用事があるんですが……」
「用事って、その手に持ってるやつ?」
「あ、そうです。なので、離していただけると……」
私が持っているジョウロに、目線を移したこの男。
ていうか、何当たり前のようにくっついてんだ。
「照れなくていいよ別に」
「いや、照れてないですね。全く」
「えー、そうなの?俺みたいなかっこいい人に言い寄られることなんてないと思うよ?」
「……嫌味ですか?」
なんなのこの人。初対面だよね?
ちなみに、まずあなた誰……っ!!!
いちいちムカつくんですけど……っ!?
軽く睨むとまた妖しげに微笑んだ。すると、やっと私を離してくれて、緊張が減る。
「しょーがないなあもう。で、ポンコツそうな雪桜ちゃん」
「なんですか……」
「クラスは?」
「一年三組です……」