チカ先輩のお気に入り。




「……っ、ごめん」

「え……っ?」


ハッとしたような顔をしたチカ先輩は、すぐに私を解放してくれて。
あまりにもあっさりすぎて困惑してしまう。

やっぱり、最近チカ先輩様子が……。

なんだか自分自身に戸惑っているような感じがする。


ソファに座り直して考え込むように無言になるチカ先輩に、私はどうすればいいのかわからない。

もしかして……怒っちゃった?
私のためにも離れてって言ったから……?


「チカ先輩……?」

「……」

「あの……っ」

「…っあ。ごめん、怒ってるわけじゃないから」


二回目の呼びかけでやっと気づいたチカ先輩は、私の不安要素をなくしてくれる。
怒っているわけではないのか……。と少しホッとする。


「俺も……なにがなんだかわかんない」

「え?」

「雪桜ちゃんといると、冷静じゃいられなくなる」


なに……どういう意味なの?



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