チカ先輩のお気に入り。



ダメだって言ってるのに、ずっと耳元で話し続けるチカ先輩に私は身をよじる。


なんで、こんな意地悪するの……っ?

なぜか目に涙が溜まって、チカ先輩を見上げる。
それにピタッと固まったチカ先輩は、急に余裕のなさそうな表情をした。


「やば……俺理性切れそうになったの初めてなんだけど」

「……っ」

「……あーもう」

「…わ……っ!」


理性切れそうになったの初めて……?どういうこと……?
言葉の意味を理解出来ずにいると、急にため息をついた。
かと思ったら、私を上から抱きしめるようにダラーっと力を抜いて密着してきて。

……っちょ、潰れる……っ!


「もう無理可愛すぎなんだけど」

「はい……?」

「……鈍感だね、ワンちゃんは」

「…え、急に悪口?」


ははっと笑ったチカ先輩に少しイラッとする。
ワンちゃん……また……?



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