チカ先輩のお気に入り。
……っえ?
ニヤッと笑って放った一言に、ドキリと動きが止まってしまう。
……っ、ドキドキさせるって……っ。
なんでそんな、勘違いするようなこと言うの……っ。
そんなことしなくても、私はドキドキしすぎて壊れそうだっていうのに。
「そうそう、そうやって困ってなよ」
「……っ」
「その顔、たまんないね」
なんで困らすの。なんでこんなにもチカ先輩でいっぱいになっちゃうの。
ギューッと胸が苦しくていっぱいになる。
こんな感情知らない。
なんでこんなに……ドキドキしてるの。
この名前のない感情に困惑してしまう。
チカ先輩の腕の中にすっぽりと収まったまま、しばらく沈黙が続く。
でもそれは、安心するもので。
……私、もしかして……。
チカ先輩にドキドキする理由も、抱きしめられて嫌じゃない理由も、チカ先輩が気になってしまう理由も。
これは……チカ先輩が、好き……だから?