チカ先輩のお気に入り。




「はい、熱測ってね」

「ありがとうございます……」


体温計を渡された私は、寝っ転がったまま脇に挟んだ。


「倉科くんが報告してくれたのよ」

「あ……そうだ、チカ先輩が……」

「先生の間でも有名なあの倉科くんが、取り乱すことなんてあるのねえ」

「え……?」


先生の言った言葉に疑問を抱く。
取り乱していたの……?でも、あれだけ冷静に対応してくれたのに。
先生はニコニコした顔で私を見ていて。


「愛されているのね」

「はい……?」

「だって倉科くん、授業参加せずに三倉さんのそばにいるってずっと言い張るんだもの。なんとか説得できたけど」


なんか話が変な方向にいってるような気が……。
楽しそうに話す先生の表情は、すごく素っていう感じがする。

で、でも愛されているだなんて……っ。
そんなことないのに、なぜかすごく嬉しくて頬がさらに熱くなる。



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