チカ先輩のお気に入り。
先生にお礼を言うと、なんだか嫌な予感のする笑みを浮かべて。
「倉科くんに、三倉さん帰ったって言っておくからね」
「……っちょ」
やっぱり、嫌な予感したと思ったんだ。
お母さんのいる前で、チカ先輩の名前を出すなんて……っ!!
ちらりとお母さんを見ると、お母さんも私を見て。
「じゃあ先生、ありがとうございました」
お母さんは先生に笑ってお辞儀をすると、そのまま私と一緒に車に向かった。
車に乗った途端。
「…倉科くんって誰……!?なに、彼氏……!?」
「……頭痛いって」
横で騒ぎ出すお母さんにため息をつく。
最悪だ……面倒くさい人に知られてしまった。
ていうか私病人なんだけど?
「あとでみっちり聞かせてもらうからね」
「……あーはいはい、わかったから帰らせて」
……この人はこうなったら聞かないから。
そう適当に返事をする。
早く熱治して元気になったら、チカ先輩に意識してもらえるように頑張ろう……。
そう決心して、ゆっくりまた目を閉じた。