チカ先輩のお気に入り。




ドアをバタンと閉めて、閉めたドアに寄っかかる。


「……うぅ〜〜っ」


そのままズルズルとしゃがみこみ、込み上げてくる涙を必死に拭う。

悔しい。悔しい悔しい。
何も言えなかったこと。あの人が言っていたことが事実だってこと。
全部が悔しくて、辛くて涙が止まらない。


「……っ、なん、で……っ」


初めての恋だから知らなかった。
恋ってこんな気持ちになるんだ。楽しいだけじゃないんだ。
苦しくて痛い。真っ黒な感情が支配してくる。

……っ、なんでかなぁ。
初恋が、なんでチカ先輩なのかなぁ。
チカ先輩かっこよくてモテるから、どうせ辛くなるのは覚悟してたはずなのに。
いざとなると、心が折れそうになる。

あんな可愛い人に『釣り合ってない』だなんて言われたら、そりゃあ傷つくに決まってる。


「……っどうすれば、いいの……っ」




< 204 / 303 >

この作品をシェア

pagetop