チカ先輩のお気に入り。
絶対負けない
次の日の朝、いつもよりも早く起きてリビングに行く。
「あれ、おはよう雪桜。今日早いのね?」
「う、うん、早い電車乗ろうと思って」
「急に?ちょっとまってね、今ご飯並べるから」
「うん」
お母さんがキッチンから話しかけてきて。
少し動揺した私を不思議そうに見ながらも納得してくれたようだ。
……早い電車で行けば、チカ先輩に会わないから。
昨日の夜、しばらくは近づかないって決心はしたけどやっぱり揺らいで。
ここで離れたらあの女の人に負けた気がするな、とも思ったけど。
でも、やっぱり私が辛いし。それにまたいつどこであの女の人が私達を見ているかはわからないから。
洗面所に行って顔を洗う。
……なんか、泣いたから少しだけ目腫れてるな。
でもなんとなーく腫れてるぐらいでよく見なければ気づかない。