チカ先輩のお気に入り。




「あんなにも人に無関心だったのに、雪桜ちゃんはそれをすぐに壊しちゃったからね」


……っ、そんなこと、ないのに。
さっきまでの辛そうな表情ではなく、嬉しそうに笑った夏目先輩。

……っ、チカ先輩、チカ先輩……っ。
私……っごめんなさい、昨日は突き放してごめんなさい。


「…夏目先輩、チカ先輩は今どこにいますか」

「うーん…それはわかんないけど、知佳は俺が今雪桜ちゃんの所にいることは知ってるよ」

「……っありがとうございます」

「…ふっ、いいえ。雪桜ちゃんに知ってもらえてよかったよ。きっと知佳は今、雪桜ちゃんを傷つけた罪悪感でいっぱいだと思うよ。
雪桜ちゃんが、知佳を救ってあげてね」

「……はい」


私が有紗さんにいろいろ言われたことは、絶対チカ先輩悪くないのに。
罪悪感なんて感じないでほしい。

夏目先輩にもう一回お辞儀をして、階段の方に走る。



< 225 / 303 >

この作品をシェア

pagetop