チカ先輩のお気に入り。
どこにいるか分からないはずなのに、身体は迷いなく進んで。
階段を何個も駆け上がって急ぐ。
……会いたい、チカ先輩の顔が見たい。
────バンッ!
走った勢いのまま、目的地である場所のドアを開ける。
目線の先には、机に軽く座りボーッと真っ直ぐ前を見ているチカ先輩がいた。
……やっぱり、いつもの空き教室にいた。
チカ先輩はゆっくりと私の方に振り返る。
私の顔を見て、困ったようにフッと笑ったチカ先輩に走って近づく。
「……なんでまた泣いてるの、雪桜ちゃん」
「……っ、チカ、せんぱ」
チカ先輩の目の前に来て、勢いよく抱きつこうと思ったのに。
それよりも先にチカ先輩に腕を引かれて抱きしめられてしまった。
「……っごめん、なさい。私…っチカ先輩のこと傷つけた……っ、あの時、無責任なこと言って、傷つけた……っ」