チカ先輩のお気に入り。



「うーん……多分それは大丈夫だと思う」

「そうなの?」

「有紗さんは、きっとまた会いに来る」


そう、言いきれる。
絶対って言えるほどではないけど、十中八九そうだと思う。

だって……忘れられていないのは、有紗さんの方だから。

『私の事まだ忘れられてないみたいなんだよね』

そう有紗さんは言っていた。
でも、それは有紗さんの方も一緒だ。
有紗さんがチカ先輩を忘れられていないのだと、私は思っている。
そうじゃなければ、チカ先輩と私に会いにこない。


「……そっか、確かにそうだね。有紗さんって人、欲望に忠実って感じがする」


その花菜ちゃんの言葉にまやちゃんも理解したのか、あー!と声を出している。


「…ふふっ、なんか雪桜さ、かっこよくなったね」

「え、かっこいい……?」

「うん。前までは子供みたいだなって思ってたけど、今はたまに大人びて見える」

「……たまに?」

「うん、たまに」



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