チカ先輩のお気に入り。




チカ先輩のその言葉に既視感を覚えて、ドクンドクンと大きく心臓が脈立つ。

『……いちいち反応が面白くて、でも可愛くて、意外としっかりしていてたまに大人びて見えて、俺の全部を理解して受け止めてくれる人』

……っ、これ、チカ先輩が言ってた、タイプの話……っ?
なんで……。

放心状態の私に、チカ先輩は微笑みながら口を開いて。


「…さっき、有紗に言った言葉は本当?」

「え……っ?」

「あれって、どういう意味だった?」


チカ先輩からの急な問いかけに、かああっと顔が熱くなって。
距離が近くて、ソファの上で少し後ずさりする。
でも、逆にどんどん近づいてきて逃げられない。


「……っ、えっ、と」

「教えてよ」

「……っ」

「……雪桜」


ずるい、ずるいよ。
なんで、そんな顔で呼び捨てするの。
心臓がどうにかなりそう。目見るので精一杯なのに。




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