チカ先輩のお気に入り。
空き教室につき、ガラッと開けると。
「偉いね。ちゃんと来てくれたんだ」
なんて言って笑ってるチカ先輩が待っていた。
来たくてきた訳ではありません。仕方なかったんです。っていう目でチカ先輩を睨みつけてみる。
「……あの、なんの用ですか?」
「なにも?」
「……え?はい?」
「なにもないよ」
「……」
帰ってもいいですかね。
呼び出した理由はなにもないらしい。どういうことだこれは。
当たり前、とでも言うような顔で笑っているチカ先輩に訳が分からなくなる。
「……帰ります」
「えー、帰っちゃうの?じゃあ一緒に帰ろうか」
「……んえ?」
ああ、間抜けな声が出てしまった。
でもだ。今チカ先輩は一緒に帰るって言ったよね……?
チカ先輩に背を向けてドアの方に歩き始めていた私はピタリと足を止める。