チカ先輩のお気に入り。




そういえば…チカ先輩と初めて会った時は、黄色のゼラニウムが咲いていた気がする。


「……俺、多分あの時から雪桜のこと気に入ってたんだよね」

「そうなんですか?」

「雪桜の、俺に対しての反応が新鮮だった」

「……あー、初対面からムカつく人だと思ってましたね」


ワンちゃん呼ばわりだったしなあ……。
そう言った私の言葉に、あははっと笑うチカ先輩。

チカ先輩のお気に入りかぁ……。
それも悪くないな、と思って少し嬉しくなる。


「雪桜、こっち向いて」

「はい……?」


水やりを終え、下にジョウロを置くと。
チカ先輩にそう言われ、素直に身体の向きを変える。


「…っん」


すると、一瞬にして唇を奪われ驚いてしまう。
すぐに唇が離れると、チカ先輩と目が合って。
優しい瞳で私を見つめるチカ先輩に、ドキドキしてしまう。


「……好きだよ」

「……っ」

「出会ってくれてありがとう」



< 300 / 303 >

この作品をシェア

pagetop