チカ先輩のお気に入り。
そういえば…チカ先輩と初めて会った時は、黄色のゼラニウムが咲いていた気がする。
「……俺、多分あの時から雪桜のこと気に入ってたんだよね」
「そうなんですか?」
「雪桜の、俺に対しての反応が新鮮だった」
「……あー、初対面からムカつく人だと思ってましたね」
ワンちゃん呼ばわりだったしなあ……。
そう言った私の言葉に、あははっと笑うチカ先輩。
チカ先輩のお気に入りかぁ……。
それも悪くないな、と思って少し嬉しくなる。
「雪桜、こっち向いて」
「はい……?」
水やりを終え、下にジョウロを置くと。
チカ先輩にそう言われ、素直に身体の向きを変える。
「…っん」
すると、一瞬にして唇を奪われ驚いてしまう。
すぐに唇が離れると、チカ先輩と目が合って。
優しい瞳で私を見つめるチカ先輩に、ドキドキしてしまう。
「……好きだよ」
「……っ」
「出会ってくれてありがとう」