チカ先輩のお気に入り。
「じゃあ、さようなら!」
「……生意気だね」
チラッと見たチカ先輩の顔は、笑っていたのに目だけは笑っていないように感じて。
少しゾクッとする。
でもそんなこと気にしている場合じゃないから、階段の方に走って降りる。
あと少しで一階までつく、という時。
曲がった瞬間目の前まで来ていた人とぶつかってしまった。
「きゃ……っ」
「うお……っ」
お互いバランスを崩しただけで、転びはしなかったみたいで。
ぶつかっちゃった……っ!
「ご、ごめんなさい、前見てなくて……っ!!」
「いや、俺こそごめんね」
顔も見ずに勢いよく頭を下げて謝ると、前からは優しそうな男の人の声がした。
パッと顔を上げると、そこにはチカ先輩とは違う、爽やか系なかっこいい男の人が立っていた。
うわ、この人もかっこいい……。
「…大丈夫?怪我は───」
「……雪桜」