チカ先輩のお気に入り。
「あ、ごめんね!俺、花野井夏目(はなのい なつめ)っていって。知佳の友達」
目の前の男の人は、チカ先輩から私に視線を移し笑顔で自己紹介してくる。
その笑顔が、すごく眩しい。なんだ……なんて言うんだろう……チカ先輩と違ったタイプのイケメンだ。
「あ、えっと、私は……」
「なんで夏目がいんの?」
自己紹介をしてくれたんだから、私も返さないと。初対面でクラスと名前を一方的に聞き出してきた誰かさんとは違うな。
なんて思って、自己紹介しようとしたのに。
後ろにいたチカ先輩が、私の口を手で塞いできた。
……何だこの手は。
「今、この子とぶつかっちゃってさ」
「そっか。ごめん雪桜ちゃんがドジで」
「はい……?」
あー、なんでこんなにもいちいちムカつくことを言うんだろう。これも一種の才能だな。
「あははっ、めっちゃ気に入ってんじゃん」
「……」
「珍しいね、知佳がそんな顔してんの」