チカ先輩のお気に入り。
……そんな顔?どんな顔。
なんて気になったがこの状態だと見えるはずもなく。
「怒んないでよ。気に入ってんのは事実だろ?」
「……そういうのじゃない」
「いつまで引きずってんのさー。雪桜ちゃん?だっけ。この子はあいつと違うでしょ」
「わかってるよ」
……なんだか、一気に機嫌が悪くなったように思える。
"気に入っている"。夏目先輩がこの言葉を言った瞬間、チカ先輩は無言になった。
引きずるってなに……?あいつって誰……?
二人の会話に当然ついていけない私はただチカ先輩に引き寄せられたままどうすることも出来ない。
「ま、お邪魔みたいだし俺は帰るわ。ごめんね雪桜ちゃん」
「あ……さようなら」
夏目先輩は私に向かって笑顔で手を振って歩き出して。
そのまま去っていった。
え、なに……?なんだったの?
「……雪桜ちゃん」
夏目先輩の向かった方向を見つめていると、後ろからチカ先輩の声が聞こえて。