チカ先輩のお気に入り。



突然話しかけられたかと思うと、変なことを言い出すから。
さすがに不意打ちは、恥ずかしい。
きゅ、きゅきゅきゅ、急に何を言い出すんだ……っ!!

自分でも顔が赤くなり始めてるのがわかる。

こ、こんな平凡な女を可愛いだなんて……っ、チカ先輩ともあろう方が私なんかに……っ。


「やっぱり、犬みたいで可愛いよね」

「は?」

「文句言いながらも俺に着いてきてる感じが。リードつけてないのに偉いね」

「……」


ですよねー。チカ先輩ともあろう方が私に可愛いだなんて、他に変な理由があるに決まってますよねー。

拳が出そう……とてもとてもムカつきますね。
なんでこの人は一言余計なのだろう。本当に顔だけじゃないか。
一瞬でもドキッとしてしまった私。バカだなハッハッハッ。


「あれ、どうかしたの?」

「……少しでも浮かれた自分が情けないなって」

「よしよししてあげようか」

「結構です……っ!」



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