チカ先輩のお気に入り。




あっという間に私の最寄り駅に着くアナウンスが流れる。


「ありがとうございました」

「素直だね」

「……」


お礼を言ったあとのチカ先輩からの返答に、少し眉がピクっと動く。


「じゃあ気をつけてね。なにかあったら連絡して」

「なにもないですよ……」

「わかんないでしょ?ストーカーとかに会ったらどうするの」

「逃げます」


ムカつくことも言うけど、心配してくれるのはありがたい。
もう一度お礼を言うと、チカ先輩は私に笑顔を向けて。

電車が止まりドアが開く。


「気をつけて。また明日ね?」

「…はい」


笑顔で圧をかけてくるチカ先輩に、頷くことしか出来ない私は、挨拶してそのまま電車から降りた。



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「はぁ〜疲れた……っ!」


家に着き自分の部屋のベッドにバタンと寝っ転がる。



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