チカ先輩のお気に入り。



……こんなことあるんだな。
今日のことを振り返ってはまだ実感が湧かない。


来る者拒まずのお色気王子、倉科知佳。
金曜日に初めて喋った割には、話しやすい人だなと思うけど。


でもチカ先輩はお色気王子だ。私よりも色んなことを知ってる大人な人。

気に入られてるんじゃないかってまやちゃんと花菜ちゃんに言われたけど。

……そんなんじゃない。
チカ先輩にとって私は暇つぶしだ。


『ドジなだけじゃなくてアホなところもあるんだね』

『犬みたいで可愛いよね』


あーもう……っ!!

足をバタバタと動かして顔を枕に埋める。


「犬じゃないし……っ!」


犬だったらお子ちゃまですらないじゃん……っ!
ほんっと、一言余計なんだから……っ!なんなら二言余計だったりするよ……っ!?

顔はいいのになあ……顔は。


『……躾ってのはこういう意味だよ』


……っ!!
急に思い出された、雰囲気の違うチカ先輩。


「…っ、バカ」


ムカつくのに、ドキドキしてしまう自分にただただ困惑することしか出来なかった。



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