チカ先輩のお気に入り。



私の心を読んだのか、チカ先輩は私にそう言ってくる。
まあ確かに、朝の時間電車多いもんね……。
チカ先輩曰く、来た電車に乗るらしい。


「雪桜ちゃん今日髪下ろしてるんだね」

「え?あ……縛ります」

「縛っちゃうの?可愛いのに」


可愛いって言ってくれるのは嬉しいけど、髪下ろしてる理由はただの寝坊なんだよなあ……。
なんだか複雑だ。


「もしかして寝坊した?」

「え……っ!なんで……っ!」

「図星だね。なんでって、走ってきたっぽいから」


息切れしている私を見て、寝坊だと当てたチカ先輩。
すごいなよくわかったな。なんか恥ずかしいわ。

すると、ドアが閉まり電車が動き出す。


「雪桜ちゃん端っこおいで」

「え、大丈夫ですよ」

「端っこの方が安全でしょ」

「…ありがとうございます」


チカ先輩がいた場所なのに……急に優しいのやめてよ、調子狂うじゃん。



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