チカ先輩のお気に入り。




そういうところは二人ともしっかりしてるから、安心する。

しょうがない、買ってってやるかっ!
そう思って財布を片手に教室を出た。



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一つ階段を降りて自販機に向かって歩いていると、自販機の前には見慣れた人影があって。


「あ、三倉ちゃん」


そこには伊緒くんが飲み物を選んでいた。
私に気づいた伊緒くんは私の名前を呼ぶなり笑顔で手を振ってきて。


「ねえ伊緒くん。じゃんけんしない?」

「なに急に。怖」


いいことを思いついた!と思った私は伊緒くんに勝負を持ちかけると、怪しいとでも言うような顔をした。


「私、まやちゃんと花菜ちゃんの分の飲み物も買わなきゃいけなくて」

「……なるほどね。負けたら奢れってことか」

「そういうこと!私が勝ったら伊緒くんの分も奢ってあげる」


さすが伊緒くん話が早いね。



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