チカ先輩のお気に入り。
どう?って伊緒くんに問いかけると、伊緒くんはニヤッと笑って。
「のった」
「やった!!」
乗り気な伊緒くんに奢らせる気満々の私はそりゃもう大喜び。
「一回だけだからな。負けても文句言うなよ」
「それはこっちの台詞よ」
ニコニコ自信満々で挑んだ結果─────
「ま、負けた……っ!!!」
グーとチョキで一発で負けた私。
うわもう最悪……っ!!
「言い出しっぺだからなあ」
「……ふん!いいよ、奢ってあげる」
ゲラゲラ笑っている伊緒くんに悔しくなるが、負けは負けだ。奢ってやろうじゃないか。
あー、なんて馬鹿なんだろ私は。さよなら私の小銭。
どれがいい?なんて伊緒くんと話していた、
……その時。
「……雪桜ちゃん?」
近くから、私の名前を呼ぶ声が聞こえてドキッと心臓が跳ねる。
ま、まさか……と思って伊緒くんと一緒に振り向くと。