チカ先輩のお気に入り。



「なにしてんの雪桜ちゃん」

「あっ、本当に雪桜ちゃんだ」


そこには、チカ先輩と夏目先輩が私の元に歩いてきていた。

うわ……っ、まさか、今会うなんて……。
チラッと伊緒くんの方を見ると、驚いたような顔して私の方を見た。

そりゃそうだよね。伊緒くんは事情を知らないんだ。昨日チカ先輩がクラスに来た時、伊緒くんはその場にいなかったから。


「ねえ…あれって、有名な先輩たちだよな」

「うん……」

「知り合いだったの?」

「まあ……その……」


あ、あははは……。なんて笑って誤魔化していると。


「その男の子誰?随分と親しそうだね」

「え……?」


チカ先輩と夏目先輩が私の目の前まで歩いてきて立ち止まると。
チカ先輩は、何考えているのかわからない瞳で私を見つめてきた。



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