チカ先輩のお気に入り。




「なんだろ……なんかムカつくね」

「はい……?」


何言ってるの?ムカつくって、こっちの台詞なのでは?

意味がわからない、と思っていると。チカ先輩は私に近づいてきてまた腕を掴んだ。
かと思うと、ソファに連れて行かれ、トンと肩を押される。


「わ……っ!」


思わず後ろからソファに倒れ込み驚いてしまう。
慌てて身体を起こそうとすると、私の上に体重がかかり、またソファに倒れ込んだ。

……っ、なに、何が起こって……っ。
今、目の前には私の上に跨っているチカ先輩がいて。
押し倒されて困惑している私と、熱を持った危険な瞳をしているチカ先輩。


「ち、チカ、先輩……っ?」


心臓が騒がしい。この近距離で無言で見つめられたら、ドキドキしてしまうのも無理はない。
な、なんで……っこんな体勢……っ。

どこにも動けない私は、ただ下からチカ先輩を見つめることしかできない。



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