チカ先輩のお気に入り。
なっ……!笑ってる……っ!
キス、されるのかと思ったじゃん……っ。
「もしかして期待した?」
「してません……っ!!」
「残念。雪桜ちゃんみたいな子供には欲情しないよ?」
「く……っ」
くっそ……っムカつく……っ!!
なんなの本当にこの人は!!掴めない人だな本当に!!!
あっさりと私の上から退いて、私を起き上がらせてくれる。
変な緊張が解けて、ふうと息を吐く。
「雪桜ちゃん、俺以外の男は信用しちゃダメだよ?」
「一番信用できないんですが……」
何ふざけたこと言ってるんですか。
軽くギロって睨んでみると、ハハッと笑ったチカ先輩。
……よかった、いつものチカ先輩に戻った。
「……」
「?チカ先輩?」
「…いや、なんでも」
元に戻ったかと思ったら急に無言になった先輩。
「戻ろうか」
その言葉に頷いて私は教室を出る。
後ろにいたチカ先輩が、
「……俺らしくないな」
と呟いていたのは知るはずもない。