チカ先輩のお気に入り。




はあ……とため息をついて、スカートのポケットに紙を突っ込む。


「雪桜ちゃん?」

「あ、ちょっと待ってください今行きます……っ!」


チカ先輩が靴を履き終えて、一年の下駄箱に顔を出した。
切り替えていつも通りに振る舞う。


大丈夫、このくらいなら私でも対応できる。
そう思ってチカ先輩に駆け寄った。


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次の日の朝も、下駄箱を覗くとまた紙切れが入っていて。


『昼休み』


紙にはその一単語だけ書かれていた。

……いや、いやいや。なに、昼休みって?
え?単語だけで書かれたらわかんないって……。
こんなことある?と思いながらも紙を無視して教室に向かう。



「うわあ……いじめ方が子供すぎるわ」

「多分女の先輩だよね。意外とバカっぽくて助かる」

「おお、花菜ちゃん毒舌」


まやちゃんと花菜ちゃんに相談すると、真剣な顔でため息をついた。



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